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東京地方裁判所 昭和44年(ワ)834号 判決 1970年2月26日

主文

被告は原告に対し別紙第二目録記載の建物を収去して、別紙第一目録記載の土地を明渡し、かつ昭和四三年五月一日から右土地明渡ずみに至るまで一か月金二、〇〇〇円の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実

一、原告訴訟代理人は主文第一、二項と同旨の判決並びに請求の趣旨第一項につき仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、

(一)  原告は別紙第一目録記載の土地を所有しているが、被告に対しつぎのとおりこれを賃貸し、以来被告は右土地上に別紙第二目録記載の建物(以下本件建物という)を所有し右土地を占有していた。

(1)  賃貸借年月日  昭和三二年一月二一日

(2)  使用目的    普通建物所有

(3)  賃料      金二、〇〇〇円

(4)  賃料支払期   毎月末日払い

(5)  賃貸借期間   定めなし

(6)  特約      賃借人が一か月以上の賃料の支払を怠つたときは契約を解除することができる。

(二)  ところが、被告は昭和四三年五月一日以降の賃料の支払をしないので、原告は被告に対し右特約に基き昭和四三年一一月一五日付内容証明郵便をもつて本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をなし、右内容証明郵便は同月一六日到達した。よつて、本件賃貸借契約は同日終了した。

(三)  仮に前項の主張に理由がないとしても、被告は昭和四三年五月一日以降の賃料の支払をしないので、原告は被告に対し、昭和四四年同人所在不明のため東京簡易裁判所に対し公示による意思表示を申立て、同方法により、第一項記載の特約に基き契約解除の意思表示をなし、同意思表示の効力は昭和四四年一二月一〇日の経過によりその効力を生じた。従つて、右賃貸借契約も昭和四四年一二月一〇日の経過によつて解除された。

(四)  従つて、被告は右賃貸借契約解除後は本件土地を占有すべき何等の権限なきにかかわらず本件建物を所有して本件土地を占有し、原告に対し賃料相当額である一か月金二、〇〇〇円の割合による損害を与えている。

(五)  よつて、原告は被告に対し、本件建物を収去して本件土地の明渡、並びに昭和四三年五月一日以降右土地明渡ずみに至るまで右賃貸借終了に至るまでは賃料として、その後は賃料相当の損害金として一か月金二、〇〇〇円の割合による金員の支払を求める。

と述べた。

証拠(省略)

二、被告は公示送達による適式た呼出を受けながら、本件の口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面をも提出しない。

理由

一、原告本人尋問の結果並びに同本人尋問の結果により真正に成立したと認める甲第一号証、並びに方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき甲第三号証を綜合すれば、原告主張の請求原因第(一)項第(三)項並びに第(四)項の各事実を認めることができる。右認定に反する証拠はない。

二、右事実によれば原告の本訴請求はすべて理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条、仮執行の宣言について同法第一九六条を各適用して主文のとおり判決する。

別紙

第一目録

東京都品川区荏原三丁目四番九号

(登記簿上の地番)

東京都品川区荏原三丁目一一八番の四

一、宅地 一八八・六六平方メートル(五七・七坪)のうち、別紙添付図面表示の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(イ)の各点を順次結んだ直線に囲まれた一二四・六二平方メートル(三七・七坪)

第二目録

東京都品川区荏原三丁目四番九号

(登記簿上の地番)

東京都品川区荏原三丁目一一八番の四

地上に存する

一、本造瓦葺二階建居宅 一棟

建坪 約九九・一七平方メートル(約三〇坪)

別紙

<省略>

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